木材の質を決める乾燥方法を大きく分けると、「自然乾燥」と「機械乾燥」の二種類。時間をかけて自然に乾燥させる方法が自然乾燥、熱風やスチームなどの高熱を利用して人工的に乾燥させる方法が機械乾燥です。木材にとって良いのは、もちろん自然乾燥ですが、時間がかかり、乾燥途中で割れたり変形したりしてロスも多いため、非常にコスト高になってしまいます。逆に機械乾燥は短時間ですむため、多くの木材が機械乾燥を採用しています。
しかし、機械によって一気に高温で乾燥させるため、木材の最も大切な油分やエキスが水分と共に蒸発、同時に木の細胞が破壊され、木本来の力が失われてしまうデメリットがあります。
質を保ちつつ、コストをかけない新しい乾燥法はないものか…と試行錯誤を重ねた末、行き着いた答えが「音響熟成」でした。
常温熟成庫の中でクラッシック音楽を聴かせ、じっくりと熟成乾燥させる方法です。音響熟成であれば、木の細胞が破壊されることなく、木材の持つ油分やエキスがそのまま残り、保湿作用・保水作用・防菌作用を持ち合わせ、時間とともに美しいツヤもでてくるという、まさに「生きた素材」に仕上がります。木が持つ本来の力を生かすことで、人の暮らしを快適で心地よくする様々な効果を生み出すのです。
『音響熟成木材』は、鹿児島県の森の中の工場の「音響熟成庫」で、クラシック音楽を聴かせながらじっくり熟成乾燥しています。木は「いきもの」。音響熟成は、その日の天候や気温に合わせ、木の様子を確かめながら、手間をおしまず、微妙な調整をしながら熟成していきます。音響熟成木材の一本一本にはすべて番号が付けられており、厳しい品質管理でその質をより高めています。
杉には、ウイルスや細菌毒素などから生体を守る成分「免疫グロブリンA」の増加を促し、人間の免疫力を高める効果があるとされています。杉の中でも樹脂分が多く、虫にも強い南九州産の杉を「音響熟成」することにより、杉本来の特性がそのまま生かされ、余計なワックスや塗料を塗る必要がありません。『音響熟成木材』として生まれ変わった南九州産の杉は、本来の素晴らしい特性をそのままに、私たちの健康に大きく貢献してくれるのです。
『音響熟成木材』は、表面に凹凸を出す「うづくり加工」を施した床材(天井・壁材)のほか、構造材、親父柱(丸太・大黒柱)など、家づくりに幅広く使用できます。また、ひとつひとつ手づくりで作る『音響熟成木材』の家具や建具もお届けしています。『音響熟成木材』は、圧縮、引っ張り、曲げなどの強度性能についても、第三者機関により調査の結果、高い評価を得ています。